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甲田烈〈それ〉とともに人=間であること~インテグラル理論からみたゲシュタルト療法~

基調講演

7月15日(土) 14:45~16:45


甲田烈

  〈それ〉とともに人=間であること

    ~インテグラル理論からみたゲシュタルト療法~


 世界におけるあらゆる世界観・哲学・宗教などのメタ理論を志向し、近年では成人の発達理論としてもしられるインテグラル理論。そもそも、「インテグラル」という言葉じたい、心身統合の段階をあらわすものとして用いられているのです。では、そのための条件とはどのようなものなのでしょうか。また、現代の哲学と人類学交差領域では、「人間」の意味が問い直される時代に入っています。そうした背景もふまえ、「影」と「それ」をキーワードに、インテグラル理論からみえるゲシュタルト療法の可能性を考えていきます。


1971年、東京生まれ。東洋大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。仏教学専攻。現・東洋大学井上円了哲学センター客員研究員・武蔵野学院大学ヌーソロジー研究所特任研究員。大学院時代は近代インド思想を研究するとともに、トランスパーソナル心理学・インテグラル理論に関心を抱き探究を続けている。また、井上円了による妖怪学を哲学的に継承・発展させる試みも行っている。関心領域は妖怪学・インテグラル理論・比較哲学・人類学。単著は『手にとるように哲学がわかる本』(かんき出版)、『水木しげると妖怪の哲学』'(イーストプレス)。共著は『入門 インテグラル理論』(日本能率協会マネジメントセンター)。








 

甲田烈さんの紹介

加藤良徳(大阪体育大学)


 甲田烈さんと最初にお会いしたのは、20年以上前になります。面白い人がいるからと友人から紹介されたのがきっかけです。坊主頭で現れた烈さんのインパクトは強烈で、次々に繰り出される話題の豊富さ、深さに、大学院生だった私や友人たちは、ただただ圧倒され続けました。文学部出身だったこともあり、本はよく読んでいる方だと自負をしていましたが、学校の図書館の本を全て読んだという人に出会ったのは、烈さんが最初で最後です。


 研究を続けていると、どうしても専門の分野に閉じこもって、他の分野に興味・関心が向かなくなりがちです。その点、烈さんの興味・関心の広さは驚くべきものがあります。インド思想からはじまり、比較哲学、インテグラル理論、トランスパーソナル理論から、現在は人類学へとその守備範囲が広がり、ライフワークの妖怪研究とともに、いつも研究の最先端を走っています。


 研究を続けていると、時々、自分のやっていることが空しくなることがあります。物事を全て相対化していったら、結局は、世界や自分のやっていることに意味なんかないんじゃないかと、そんなことを思うようになってしまうのです。私の場合、結局、10年ほど、こんな思いを鬱々と抱えて生きていたのですが、相対化の地獄からなんとか抜け出すことができたのは、烈さんを通して出会ったインテグラル理論や成人発達理論のおかげです。「人が成長するとは、どういうことなのか」というメタ視点を与えてもらえたのです。今回の講演でも、インテグラル理論からみたゲシュタルト療法のお話が聞けるようですし、多くの仲間に、俯瞰的な視点から、今一度、ゲシュタルト療法を振り返っていただけたらと思います。ゲシュタルト療法の内部からの視点だけでなく、インテグラル理論というメタ理論からゲシュタルト療法を眺めてみると、新しい発見があると思います。


 最後に、インテグラル理論の提唱者であるケン・ウィルバーの言葉として、烈さんから伺った言葉の中で、特に印象に残っているものをご紹介します。一時期、仲間内では流行語になりました。


「全ては正しい。しかし、部分的である」


「どれだけ創造的に見える哲学・思想・宗教・心理学・科学も、ある特定の領域について、特定の関心から組み立てられたものであり、それらのうちどれかひとつを無条件に正しいものとして盲信するべきではないということと同時に、それぞれの知見には部分的な真実もまた息づいていることを意味しています」(『入門インテグラル理論』)。


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