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スーパービジョン・ホイール

ゲシュタルト療法におけるスーパービジョンは、一対一で行われるだけでなく、グループで行われることも盛んです。グループスーパービジョンでは、複数のセラピスト(スーパーバイジー)がお互いのクライアントのケースから学び、多様な視点を得る良い機会になります。Diego G. Brandolín(2025)は、ゲシュタルト療法のグループスーパービジョンを効果的に進めるための方法を提案していますし、Ruella Frank(2025)やLaurie Fitzpatrick(2025)も、グループでのスーパービジョンの経験について語っています。グループの中で生まれる、人との「関係性」やその場の「雰囲気(フィールド)」から得られる学びは、一対一のスーパービジョンではなかなか得られない、とても豊かなものです。Laurie Fitzpatrick(2025)は、自身がコーチングスーパービジョングループに参加した経験から、グループの中で「心理的安全性」(psychological safety)があることの大切さを指摘しています。


ゲシュタルト・スーパービジョンで特に力を入れているのは、スーパーバイジーであるセラピストが、専門家としてさらに成長できるようサポートすることです。Anna MaleckaとOlga Tokarska-Bak(2025)は、特に経験の浅いセラピストが、安心して学べる場所(「アドヒアランス・フェーズ」と呼ばれる初期段階)で、自分らしさを確立し、セラピストとしての自信を育てていくことの重要性を深く探求しています。スーパービジョンを通して、スーパーバイジーは自分の得意なことや苦手なことに気づき、自分自身への理解を深め、専門家としての確固たる自分を築いていくことができます。


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スーパーバイザーの役割は、単に知識や技術を教える「先生」にとどまりません。Nifont B. Dolgopolov(2025)は、Rita Resnickが提唱した「スーパービジョン・ホイール」(1999年に発表されたモデル)を、セラピストとスーパーバイザーの関係を理解する上での基本的な考え方として使っています。このモデルが示すのは、スーパービジョンが、お互いに探求し、学び、共に成長していく共同作業であるということです。スーパーバイザーは、スーパーバイジーが自分の中に眠る力を見つけ出し、新しい解決策を生み出せるよう、手助けをする案内人のような役割を果たすのです。また、スーパーバイザー自身も、常に学びを続け、自分を磨くことを怠らず、これまでの経験をスーパービジョンに活かすことで、スーパーバイジーとの関係をさらに豊かなものにしていくことが求められます。


スーパービジョンの学びを深める次なるステップへ:2025年 ゲシュタルト・スーパービジョン研修のご案内

この記事では、最新の『Gestalt Review』に掲載された論文を基に、ゲシュタルト療法におけるスーパービジョンが、単なる技術指導にとどまらず、セラピストの「いま、ここ」での気づき、人間らしい関係性、そして場全体の流れを大切にするプロセスであることを紹介してきました。

スーパービジョンは、セラピストが実践を深め、自分自身を成長させるための不可欠な支えであり、ゲシュタルト療法のアプローチがそのプロセスをより豊かにしてくれます。

この学びをさらに深め、実践に活かしていただくために、次のような研修を企画しました。

2025年 スーパービジョン研修 ―「いま・ここ」に立ち会うファシリテーターであるために―

ゲシュタルト学会には近年、「スーパービジョンを受けたい」「ファシリテーターとしての力量を高めたい」といった多くの声が寄せられています。これにお応えし、私たちはスーパービジョンの実践的な研修の場を設けました。

■ 日時・会場 2025年7月21日(月)10:00 – 17:00 国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟 和室-1,2 (東京都渋谷区代々木神園町3-1)

■ 企画の背景 7月のワークショップ大会(7月19日・20日)で全国から多くの参加者が集まるこの機会に、大会翌日を活用して本研修を開催します。

ゲシュタルト療法のスーパービジョンは、時代とともにその形を変えてきました。かつてはセラピストの能力を評価したり、問題点を指摘したりすることに重きが置かれがちでしたが、その後、ファシリテーター個人の資質や能力を支援する視点へと移行し、関係性や手順の重要性が増しました。そして現在は、スーパービジョンの本質そのものを問い直し、より深い探求を行う時期へと移っています。

今回の研修では、ゲシュタルト学会スーパーバイザーである百武正嗣を中心に、複数のコ・スーパーバイザーと共に、参加者の皆様と「これからのスーパービジョンのあり方」そのものについても探求していきたいと考えています。

■ この研修で得られること 本研修では、ファシリテーターが「いま・ここ」にいるクライエントとどう向き合うのか、「プレゼンス(自分自身であること)」とは何かという問いを、体験を通じて深く探求します。

  • 「いま、ここ」でのプレゼンスと気づきのプロセスを体験的に探求し、セラピストとしての在り方を深めることができます。

  • 現象学的視点と実験的なアプローチを通して、ご自身とクライアントの体験をより明確に理解し直すことができます。

  • スーパービジョン関係そのものを対話的に体験しながら、関係性の質に新たな視点を得られます。

  • 場の理論に基づき、ご自身の臨床実践をより広い文脈とつなげて捉える視野を広げられます。

  • 共に学ぶ仲間との対話を通じて、ご自身の実践に活かせるヒントや気づきを持ち帰ることができます。

■ スーパーバイザーについて 本研修では、スーパーバイザーを百武正嗣が務め、以下の4名のコ・スーパーバイザーがサポートします。コ・スーパーバイザーは、長年のゲシュタルト実践経験、豊富な臨床経験、そして理論的な背景を明確に言語化できる能力を基準に選考されています。

  • スーパーバイザー: 百武正嗣

  • コ・スーパーバイザー: 室城隆之、久松睦典、野妻裕美、河村葉子

ゲシュタルト療法のスーパービジョンに関心をお持ちの皆様、この機会にぜひご参加ください。皆様と共に、深みのある学びの場を創造できることを楽しみにしております。

詳細・お申し込みは

からお願いします。




参考文献

  • Amendt-Lyon, N. (2025). Parallel Processes, Field Forces, and Reversed Roles in Gestalt Supervision. Gestalt Review, 29(1-2), 9–29.

  • Brandolín, D. G. (2025). Clinical Supervision in Gestalt Therapy: A Methodological Proposal Toward the Formalization of the Process. Gestalt Review, 29(1-2), 57–75.

  • Dolgopolov, N. B. (2025). Functional Model of Supervision in Gestalt Therapy. Gestalt Review, 29(1-2), 76–99.

  • Fitzpatrick, L. (2025). What I Learned in Supervision: Reflections of a Nontraditional Participant. Gestalt Review, 29(1-2), 46–56.

  • Frank, R. (2025). Somatic Supervision: A Living Body Approach. Gestalt Review, 29(1-2), 30–45.

  • Kramer, M. E. (2025). Afterword: Clinical Supervision and Case Consultation: Critical Similarities and Differences. Gestalt Review, 29(1-2), 127–135.

  • Malecka, A., & Tokarska-Bak, O. (2025). Building a Safe Ground in Supervision: Work with Beginner Therapists. Gestalt Review, 29(1-2), 144–157.

  • Melnick, J. (2025). Foreword: Supervision in Gestalt Practice. Gestalt Review, 29(1-2), 1–8.

  • Spagnuolo Lobb, M. (2025). Supervision as a "Situation": Recognition of the Therapist's Intentionality. Gestalt Review, 29(1-2), 100–126.

  • Resnick, R. F., & Estrup, L. (2000). Supervision: A collaborative endeavor. Gestalt Review, 4(2), 121–137.


*Gestalt Review誌は、会員であればバックナンバーを含めて読むことができます。

 
 
 

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